訪問看護ステーションの看護師採用でホームページができること
訪問看護ステーションの課題はほぼ採用に集約されます。求人媒体に書けない実態をホームページで補い、応募前の不安を減らす方法と、採用ページに載せるべき項目をまとめました。

訪問看護ステーションの経営課題は、ほとんどの場合、看護師の採用に集約されます。利用者はケアマネジャーからの依頼で増やせても、看護師が増えなければ受けられません。求人媒体に出しても応募が来ない、来ても面接前に辞退される、という話を弊社はよく聞きます。
この記事では、看護師が訪問看護への応募をためらう理由から逆算して、ホームページの採用ページに何を書けば応募と定着につながるかを整理します。求人媒体を否定する話ではなく、媒体に書けない部分をサイトで補う考え方です(訪問看護ステーションのサイトを新しく作る場合も、既存サイトに採用ページを足す場合も、同じ考え方で使えます)。
看護師が訪問看護への応募をためらう理由は「実態が見えない」こと
病院勤務の看護師が訪問看護に興味を持っても、応募まで進まない理由の多くは「一人で訪問する不安」「オンコールの実態が分からない」「給与の内訳が読めない」の3つです。
求人媒体の枠には、給与と勤務時間と休日しか書けません。看護師が本当に知りたい「1日何件回るのか」「オンコールで実際に呼ばれるのは月何回か」「同行期間はどのくらいか」は、媒体では伝わらないのです。ここを自院のサイトで書くのが、採用ページの役割になります。
採用ページに載せるべき項目
応募前の不安を消す順に並べます。
1日の流れと訪問件数
「8時30分に出勤して申し送り、9時に出発、午前3件、昼はステーションに戻る、午後3件、17時に記録を終えて退勤」。この粒度で1日を書きます。写真は訪問先に向かう車や自転車、記録している様子など、動きが見えるものが効きます。
オンコールの体制と、実際に呼ばれた回数
最も聞かれる項目です。「月◯回のオンコール当番、直近半年の平均出動は月◯回、出動時は◯円の手当」と、実績の数字で書きます。実績を出せない場合でも、当番制か、管理者がバックアップに入るか、電話対応で済むことが多いか、といった体制だけは書いておきます。
同行訪問の期間と、独り立ちまでの流れ
「入職後◯週間は先輩と同行、その後◯ヶ月は近隣の訪問から」のように、独り立ちまでの道筋を書きます。訪問看護が未経験の看護師にとって、この一文があるかないかで応募のハードルが変わります。
給与の内訳と、モデル年収
基本給、訪問手当、オンコール手当、賞与を分けて書き、常勤・非常勤それぞれのモデル年収を出します。「月給◯万円〜」だけでは、病院勤務との比較ができません。
在籍スタッフの声
年齢層、前職(病棟、外来、他の訪問看護)、入職の理由、続けている理由。書きすぎず、2〜3人分で十分です。写真は本人の了承を得たうえで、顔が分かるものがベターです(掲載を望まないスタッフには、後ろ姿や手元の写真でも構いません)。
応募フォームと、面接までの流れ
応募フォームは職種ごとに分け、「見学だけ」の選択肢を入れておきます。訪問看護は見学からの応募が多い職種です。面接の回数と日程の目安も書いておくと、在職中の看護師が動きやすくなります。
求人媒体との使い分け
Indeedや求人ボックス、看護師専門の転職サイトは、看護師が最初に見る場所です。そこを外す理由はありません。サイトの採用ページは、媒体で名前を見た看護師が「どんなところか」を確認しに来る場所として設計します。
流れとしては、媒体で認知、サイトで不安を解消、フォームから応募、という順です。媒体の求人票にはサイトの採用ページのURLを入れ、サイトの採用ページには媒体に書けない実態を書く。この分担ができていれば、媒体の掲載費は同じでも応募の質が変わります。
サイト側の求人ページに求人の構造化データ(JobPosting)を入れておくと、Googleしごと検索やIndeedにも拾われます。媒体の掲載期間が切れたあとも、サイトの求人ページは残り続けます。
ケアマネジャーからの依頼にも、同じサイトで応える
採用を軸に作るサイトでも、ケアマネジャー向けの依頼ページは必要です。訪問看護の利用者は、ケアマネジャーが訪問看護ステーションを選んで決まります。対応エリア、対応できる医療処置、精神科訪問看護の可否、依頼の連絡先を1ページにまとめておきます。
採用ページとケアマネジャー向けページは読者が違うので、トップページで入口を分けます。「看護師の方へ」「ケアマネジャーの方へ」「ご利用を検討されている方へ」の3つが並んでいる構成が分かりやすいです。
採用ページに載せる項目の一覧
前の章の内容を、ページに置く順に並べます。上から順に読まれる想定です。
| 項目 | 書く内容 | 応募者が消したい不安 |
|---|---|---|
| 1日の流れ | 出勤から退勤までの時間割、訪問件数、移動手段 | 一人で回りきれるか |
| オンコール | 当番の頻度、直近半年の出動実績、手当、バックアップ体制 | 夜間に呼ばれ続けるのではないか |
| 同行期間 | 同行訪問の週数、独り立ちの目安、フォローの仕組み | 未経験でやっていけるか |
| 給与 | 基本給・訪問手当・オンコール手当・賞与の内訳、モデル年収 | 病院と比べて下がらないか |
| スタッフの声 | 前職、入職理由、続けている理由(2〜3人) | どんな人が働いているか |
| 応募・見学 | 職種別フォーム、見学の選択肢、面接回数と日程の目安 | 在職中でも動けるか |
すべてを一度に揃える必要はありません。1日の流れ、オンコール、同行期間の3つがあれば、応募前の問い合わせの内容が変わります(弊社の経験では、この3つを載せたあとに「オンコールの実態を教えてほしい」という問い合わせが減り、見学の申し込みに置き換わる傾向があります)。
2026年度の改定で、訪問看護のICTを使った連携が評価される方向にある
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、在宅医療・訪問看護の分野で、平時からのICTを用いた情報連携に関する評価の見直しが行われる方針が示されています(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。
採用の観点では、情報共有のツールが整っていることは応募者への訴求材料になります。記録が紙かタブレットか、主治医との連絡が電話だけかICTツールがあるか。訪問看護の経験者ほど、この点を見て働きやすさを判断します。採用ページに「記録・連絡の仕組み」の項目を1つ足しておくと、経験者の応募に効きます(改定の詳細は告示・通知で確認してください。この記事は2026年度改定の概要資料に基づいています)。
訪問看護の採用ページで気をつける表現
採用ページも医療機関のサイトの一部として、誇大な表現には注意が要ります。「残業ゼロ」「オンコールなし」と書いて実態と違えば、入職後の早期離職につながります。採用の場面では、法規制より前に「書いたことが実態と合っているか」が定着率を決めます。
数字を出すときは「直近半年の実績」「◯年◯月時点」のように基準時点を添えます。実態が変わったときに更新しやすくなり、応募者からの信頼も保てます。
訪問看護ステーションの採用ページは、何から作ればいいか
すでにサイトがある場合は、採用ページに「1日の流れ」「オンコールの実績」「同行期間」の3項目を足すところからです。この3つが書いてあるだけで、応募前の問い合わせの内容が変わります。
サイトがない、または古い場合は、採用を主軸にした構成で作り直すのが現実的です。ページ数は8〜10ページ程度、採用ページは職種ごとに分けます。
最後に
訪問看護の看護師採用でホームページが担うのは、求人媒体に書けない実態を伝えて、応募前の不安を減らすことです。1日の流れ、オンコールの実績、同行期間、給与の内訳。この4つが書いてあるかどうかで、応募の数と定着の両方が変わります。
ケアつくでは、訪問看護ステーションと在宅医療クリニックに絞って、採用ページを含むホームページを制作しています。採用ページの追加だけのご依頼にも対応していますので、現状のサイトの有無に関わらずご相談ください。


