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訪問診療クリニックの医師採用サイトに書くべきこと

訪問診療の医師採用は売り手市場で、求人媒体の情報だけでは選ばれにくくなっています。医師が自院サイトを見に来る理由、オンコール体制の書き方、常勤・非常勤ごとの見せ方、採用ページに載せる項目を整理します。

訪問診療の医師採用は、求人媒体に掲載すれば応募が集まるという状況ではなくなっています。在宅医療の需要が伸びる一方で、医師の絶対数が地域によって不足しており、条件のよい求人ほど医師の側が選ぶ立場です。求人媒体の限られた文字数では伝えられない情報を、自院のホームページでどう補うかが、応募の数と質を左右します。

この記事では、医師が自院サイトを見に来る理由、オンコール・当直体制の書き方、常勤・非常勤・スポットごとの見せ方、採用ページに載せる項目までを整理します。

前提として、採用サイトを整えたからといって、すぐに応募が殺到するわけではありません(採用は求人媒体への出稿や紹介会社の利用と組み合わせて考えるものであり、サイトはその中の一つの受け皿という位置づけです)。それでも、応募の入口として自院サイトが機能しているかどうかで、同じ求人媒体費用でも結果が変わってくると見ています。

訪問診療の医師採用は求人媒体だけでは決まらない

訪問診療クリニックの医師求人は、常勤で年収1,000万円台が中心的な相場帯とされ、条件次第ではさらに高い水準の求人も見られます。都市部の医師不足地域では、年齢を問わず採用の動きがあるとも言われています。求人媒体を見る医師の側も、複数の求人を比較検討できる立場にあります。

一方で、医師の働き方をめぐる制度は変化しています。2024年4月から医師の働き方改革の新制度が始まり、時間外労働の上限規制と健康確保措置の適用が進められています(出典 厚生労働省「医師確保対策」)。転職を考える医師にとって、オンコールの頻度や当直の有無は、これまで以上に重い判断材料になっていると見ています。

求人媒体の限られた枠だけでは、こうした働き方の実態までは伝えきれません。自院のホームページが、その情報を補う役割を担うことになります。

医師が転職サイトの他に自院サイトを見に来る理由

求人媒体で条件に興味を持った医師の多くは、応募の前に必ずと言っていいほど、その医療機関のホームページを確認します。理由は単純で、求人票は医療機関側が書いた情報であり、実際の職場の雰囲気や体制までは分からないためです。

医師が確認したいのは、院長がどんな考えで在宅医療をしているか、どんな患者層を診ているか、他の医師やスタッフの人数と構成、そして最も気になる働き方の実態です。これらがサイトに書かれていなければ、応募するかどうかの判断材料が求人票だけになり、他の候補と比べて印象に残りにくくなります(弊社の経験では、院長の顔と考え方が見える採用ページのほうが、応募後の面談がスムーズに進む傾向があります)。

サイトを見た段階で疑問が解消されていれば、面談では条件のすり合わせよりも、実際に一緒に働けそうかという相性の確認に時間を使えます。逆にサイトの情報が薄いと、面談の前半が求人票に書かれていた内容の確認だけで終わってしまい、双方にとって時間のロスになります。採用サイトの充実度は、面談の質にも影響していると見ています。

オンコール・当直体制はどこまで書くべきか

結論として、曖昧にせず具体的に書くことをおすすめしています。

オンコール体制は、訪問診療の求人で最も懸念されやすい項目です。「オンコールあり」とだけ書かれた求人には、医師の側が慎重になります。頻度が分からなければ、最悪のケースを想定して応募を見送られることもあります。

書くべき内容は次のようなことです。オンコールの当番の回数(週に何回、月に何回)、実際に呼び出しがかかる頻度の目安、当番の医師が複数いるかどうか、当番を交代できる体制があるかどうか。数字で示せるものは数字で示し、示せないものは「現状は月◯回程度です」のように、実態に近い言葉で書きます。実際より軽く見せる書き方は、入職後のミスマッチにつながるため避けたほうがよいと考えています。

当直についても同様です。夜間対応を外部の医療機関や当直代行サービスと連携している場合は、その体制を書いておくと、オンコールの負担が実際にはどの程度かが伝わりやすくなります。

例えば「オンコールは医師3名で輪番制、1人あたり月8〜10回、実際に呼び出しがかかるのは月2〜3回程度」のように書けば、応募する医師は自分の生活とのバランスを具体的にイメージできます。数字を出すことに抵抗があるかもしれませんが、書かないことで悪いほうに想像されるより、実態に近い数字を出したほうが結果的にミスマッチの少ない応募につながると考えています。

常勤・非常勤・スポットで見せ方を変える

訪問診療クリニックの医師採用は、雇用形態によって医師が重視する情報が変わります。

常勤医師への見せ方

常勤は、長く働く前提での判断になるため、キャリア形成や教育体制、法人としての将来性を重視する傾向があります。院長の考え方、他の常勤医師の経歴、開業支援や分院展開の計画があれば、それも判断材料になります。将来的に分院長や在宅療養支援診療所としての機能強化型を目指す計画があるなら、その方向性も書いておくと、キャリアの伸びしろを見ている医師には響きやすくなります。

非常勤・週数日勤務への見せ方

非常勤は、勤務日数や時間の融通、他院との掛け持ちのしやすさを重視する傾向があります。週何日から勤務可能か、曜日や時間帯の相談余地があるかを具体的に書いておくと、応募のハードルが下がります。子育てや介護と両立している医師、大学病院に籍を置きながら非常勤で在宅医療に関わりたい医師など、非常勤を選ぶ理由は人によって様々です。融通が利く働き方であることが伝わる書き方を心がけます。

スポット・単発への見せ方

スポットでの募集は、日当や交通費の条件、当日の業務内容がどこまで明確かを重視する傾向があります。訪問件数の目安や移動手段の有無まで書いておくと、応募する側が業務量を想像しやすくなります。スポット勤務は初めて訪れる医師も多いため、当日の集合場所や持ち物、緊急時の連絡先といった実務的な情報を載せておくと、当日の不安を減らせます。

医師の働き方改革との関係をどう書くか

2024年4月の制度開始以降、時間外労働の上限規制や健康確保措置は、勤務先を選ぶ医師にとって確認事項の一つになっています。自院がどう対応しているかを、採用ページに一文でも書いておくと、働き方に配慮している職場だという印象につながります。

書き方としては、当直や時間外対応の実態を正直に示した上で、負担を減らすための工夫(当番制、当直代行の活用、ICTによる情報共有など)を添える形が伝わりやすいと見ています。制度の名称だけを並べるより、自院での具体的な取り組みを書くほうが、実際の働き方をイメージしてもらいやすくなります。

採用ページに実際に何を載せるか

ここまでの内容を踏まえて、採用ページに載せる項目を整理します。

院長メッセージ(在宅医療を始めた経緯、大事にしている考え方)、法人・クリニックの概要(開業年、患者数、対応エリア)、医師・スタッフの人数と体制、1日の勤務の流れ、オンコール・当直の頻度と交代体制、給与レンジと諸手当、雇用形態ごとの募集条件、教育体制やキャリア形成の支援、実際に働く医師のインタビューや一言コメント。この9項目を軸に、自院で答えられるところから埋めていく進め方をおすすめしています。

すべてを一度に用意する必要はありません。オンコール体制と給与レンジのように、応募の可否を左右する項目から優先して書き、院長メッセージやインタビューは後から充実させていく進め方でも十分に機能します。

写真の使い方にも工夫の余地があります。院内の様子だけでなく、訪問時の車内や移動風景、スタッフ同士のカンファレンスの様子といった、在宅医療ならではの働き方が伝わる写真を入れると、外来クリニックとの違いが視覚的に伝わります。求人票の文字情報だけでは伝わらない部分を、写真とインタビューで補う形です。

未経験・専門外の医師にどう向き合うか

在宅医療の経験がない医師からの応募をどう扱うかも、採用ページで示しておきたい点です。

在宅医療は、外来や病院勤務とは異なる判断力が求められる領域ですが、経験者に限定すると応募母集団が狭くなります。未経験者を受け入れる体制がある場合は、研修期間の有無、同行訪問での引き継ぎ、相談できる体制があることを書いておくと、専門外からの応募のハードルが下がります。逆に経験者を求めている場合も、その旨を明記しておくことで、ミスマッチのある応募を減らせます。

専門科ごとの向き不向きを気にする医師もいます。内科出身でなくても在宅医療に携わっている医師は多く、外科・整形外科・精神科など、様々な出身科の医師が活躍している実例があるなら、それを書いておくことも判断材料になります(出身科を限定するとかえって応募の幅を狭めてしまうため、受け入れ実績があるなら積極的に示したほうがよいと考えています)。

医師採用サイトでよくある失敗

弊社が既存サイトを拝見して気になったものです。

オンコール体制を書かない、または曖昧にする

「オンコール対応あり」とだけ書き、頻度や交代体制に触れないケースが多く見られます。書かれていない項目ほど、医師の側は悪いほうに想像する傾向があります。

求人票の内容をそのままサイトに転載している

給与や勤務時間といった条件面だけを転載し、院長の考え方や職場の雰囲気が伝わる内容がないケースです。求人媒体と同じ情報しかなければ、自院サイトを見る意味が薄くなります。求人媒体には書けない情報、例えば院内の具体的な人間関係や、開業からこれまでの歩みといった背景を書くことが、サイトならではの役割です。

常勤・非常勤・スポットを一括りにしている

雇用形態ごとに重視される情報が違うにもかかわらず、一つの採用ページにまとめて書かれているケースがあります。せめて見出しで雇用形態を分け、それぞれに合う情報を近くに置く工夫が要ります。

給与や待遇の表現が医療広告ガイドラインの対象という認識がない

採用ページは求人情報であると同時に、医療機関のホームページの一部でもあります。「業界最高水準の給与」のような比較優良表現や、患者への効果を誇張した記載は、医療広告ガイドラインとの関係で注意が必要です。採用条件を具体的な数字で書くこと自体は問題ありませんが、表現の書き方には配慮が要ります。

最後に

訪問診療の医師採用では、求人媒体で興味を持った医師が、応募前に必ず自院サイトを確認します。オンコール・当直体制を具体的な数字で書き、常勤・非常勤・スポットごとに重視される情報を分けて示し、院長メッセージや実際の勤務の流れまで載せることで、求人票だけでは伝わらない働き方の実態を補えます。

ケアつくでは、訪問診療クリニックの採用ページ制作も、集患向けのホームページ制作とあわせてご相談いただけます。オンコール体制の書き方や雇用形態ごとの構成でお悩みの場合も、お気軽にお問い合わせください。医師採用は一朝一夕に結果が出るものではありませんが、求人票だけでは伝えきれない情報を積み上げていくことが、遠回りに見えて確実な道だと考えています。

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