訪問診療クリニックの開業準備でホームページはいつ作るか
訪問診療クリニックの開業では、ホームページの公開が遅れると紹介元への挨拶や求人で使えず、開業初月の紹介が止まります。開業日から逆算したスケジュール、開業前に公開しておくページ、届出と並行して決めることを整理します。

訪問診療クリニックの開業準備は、物件、医療法人か個人か、開設届、保険医療機関の指定、在宅療養支援診療所の届出、車両、スタッフ採用、電子カルテと、決めることが多く、ホームページは後回しになりがちです。ところが在宅医療のクリニックは、開業初日に患者さんがいるわけではなく、紹介元への挨拶と求人を開業前に進める必要があります。そのどちらでも、ホームページのURLがあるかないかで動きやすさが変わります。
この記事では、開業日から逆算したホームページのスケジュール、開業前の段階で公開しておくページ、届出と並行して決めておく項目をまとめます。開業の3〜6ヶ月前に読んでいただく想定です。
開業の2ヶ月前には公開されているのが理想
結論から書くと、開業日の2ヶ月前にはトップページと関係者向けページが公開されている状態が理想です。理由は2つあります。
1つは、紹介元への挨拶が開業前に始まるためです。地域連携室やケアマネジャーに「◯月に開業します」と伝えたとき、相手はサイトを見て対応エリアと受け入れ条件を確認します。サイトがないと、名刺と口頭の説明だけで記憶に残すことになり、開業後に思い出してもらえないためです。
もう1つは、求人です。看護師や事務スタッフの募集を開業の2〜3ヶ月前に始めるとき、求人媒体の掲載だけでは応募者が「どんなクリニックか」を確認できません。採用ページがあると、応募前の不安が減ります(弊社の経験では、開業前の求人でサイトがあるかないかは、応募数より面接の辞退率に差が出ます)。
開業日から逆算したスケジュール
ライトプラン相当(5ページ程度)で公開まで約1.5ヶ月、スタンダード相当(10ページ程度)で2〜2.5ヶ月が制作期間の目安です。逆算すると、次のようになります。
| 時期 | ホームページ側でやること | 開業準備側で並行すること |
|---|---|---|
| 開業6ヶ月前 | 制作会社の選定、ヒアリング、ドメイン取得 | 物件の決定、開設の形態(個人・法人)の決定 |
| 開業5ヶ月前 | 構成案の確定、原稿の下書き | 対応エリア・受け入れ条件の決定、連携先への打診 |
| 開業4ヶ月前 | デザイン確認、写真の準備 | 開設届の準備、スタッフ募集の開始 |
| 開業3ヶ月前 | テスト環境で全ページ確認 | 保険医療機関の指定申請、車両・機材の手配 |
| 開業2ヶ月前 | 公開(トップ・関係者向け・採用) | 紹介元への挨拶を開始 |
| 開業1ヶ月前 | Googleビジネスプロフィールの整備、お知らせ更新 | 在宅療養支援診療所の届出、内覧会 |
| 開業 | 受付開始のお知らせ、受け入れ状況の表示 | 診療開始 |
開業6ヶ月前というと早く感じますが、開業準備の中盤で原稿の確認に時間を取れなくなることを考えると、この程度の余裕が要ります。開業3ヶ月を切ってから相談を受けた場合は、ページ数を絞って先に公開し、開業後に足す進め方です。
開業前に公開しておくページ
開業前の段階では、すべてのページが揃っている必要はありません。次の4つがあれば、挨拶と求人には使えます。
トップページ
開業予定日、対応エリア、対応できる医療の概要、医師の顔写真と一言、3つの入口(患者・家族/関係者/採用)。「◯月◯日開業予定」と明記し、開業後に外します。
医療・介護関係者の方へ
対応エリア、受け入れ条件、看取りの対応、緊急時の体制、紹介の流れ、連絡窓口、紹介申込書のPDF。開業前でも、体制が決まっていれば書けます。決まっていない項目は「開業までに確定します」と書き、決まり次第更新します。
医師紹介
院長の経歴と、在宅医療に取り組む理由。紹介元もご家族も、ここを見て人柄を判断します。開業前は院長だけで構いません。
採用情報
募集職種、勤務条件、1日の流れの予定、応募フォーム。開業前の求人は「立ち上げに関われる」ことが訴求点になるため、院長がどんなクリニックにしたいかを書いておくと応募の質が変わります。
診療の流れや費用の目安など、患者さん向けの詳しいページは、開業後に足しても遅くありません。
届出と並行して決めておくこと
ホームページの原稿を書く段階で、開業準備側の決定事項が必要になります。決まっていないと原稿が止まります。
対応エリア
市区町村名で決めます。訪問診療の算定は原則としてクリニックから16km以内ですが、サイトに書くのは市区町村名です。開業時は狭めに設定し、体制が整ってから広げるほうが、紹介元との約束を守りやすくなります。
受け入れ条件
対応できる医療処置(点滴、中心静脈栄養、人工呼吸器、在宅酸素、褥瘡処置、疼痛管理)、対応する疾患、看取りの対応、小児や精神疾患への対応、施設への訪問の可否。これは在宅療養支援診療所の体制とも関わります。在宅療養支援診療所の施設基準には、24時間の連絡応需体制、24時間の往診体制、24時間の訪問看護体制、緊急時の入院体制、連携する医療機関等への情報提供などが含まれます(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。サイトの「緊急時の体制」は、この基準に沿って書く形です。
24時間の連絡体制
夜間・休日の連絡先を誰が受けるか。院長が全部受けるのか、看護師が一次対応するのか、連携先と分担するのか。2026年度の改定では、第三者(株式会社等)の利用によって24時間の連絡体制や往診体制を確保する場合の要件が明確化されています。外部サービスを使う予定があるなら、届出との整合を確認したうえでサイトに書きます。
連携先
後方支援病院、訪問看護ステーション、薬局。開業前に打診し、サイトへの掲載の了承を取ります。名前を出せる連携先が1つでもあると、紹介元の見え方が変わります。
訪問診療クリニックの開業前にホームページで用意しておくものは何か
トップページ、関係者向けページ、医師紹介、採用情報の4ページです。開業の2ヶ月前に公開し、紹介元への挨拶と求人に使います。対応エリア、受け入れ条件、24時間の連絡体制、連携先の4つは、届出の準備と並行して決めておくと原稿が止まりません。
よくある失敗
弊社が開業支援の場面で見てきたものです。
開業日に合わせて公開しようとする
公開が開業日になると、挨拶回りの段階でサイトがなく、求人にも使えません。開業日は「受付開始のお知らせ」を出す日で、公開日ではありません。
外来クリニックのテンプレートで作る
診療科目のアイコンとWEB予約ボタンが並び、関係者向けページと対応エリアがない構成です。在宅医療では、紹介元が判断する情報が抜けたサイトになります。
ドメインとサーバーを制作会社名義で取る
開業準備で手が回らず、制作会社に任せてしまうケースです。後で移管や解約のときにトラブルになります。医療機関のご名義で取得し、制作会社には管理を委ねる形にします。
医療広告ガイドラインを意識せずに書く
「地域で最も安心」「必ず自宅で看取れます」のような表現は、医療広告ガイドラインで問題になる可能性があります(出典 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」)。開業前は意気込みを書きたくなる時期ですが、体制と条件を淡々と書くほうが紹介元には響きます(意気込みは医師紹介の「在宅医療に取り組む理由」に書くと、ガイドラインの心配なく伝えられます)。
最後に
訪問診療クリニックの開業では、ホームページを開業日の2ヶ月前に公開し、紹介元への挨拶と求人に使うのが現実的な進め方です。制作期間を考えると開業の6ヶ月前に相談を始め、対応エリア・受け入れ条件・24時間体制・連携先を届出の準備と並行して決めていきます。
ケアつくでは、在宅医療のクリニックに絞ってホームページを制作しており、開業日から逆算したスケジュールで進めています。開業準備の途中で、決まっていない項目があっても相談は始められますので、早めにご連絡ください。


