訪問診療の集患は地域連携室とケアマネジャーからの紹介で決まる
訪問診療クリニックの新規患者は、病院の地域連携室・ケアマネジャー・訪問看護からの紹介が主な経路です。紹介が生まれる仕組みと、紹介元が判断に使う情報、ホームページでできる準備を整理します。

訪問診療クリニックの集患は、外来と違って「検索して来てもらう」ものではありません。新規の患者さんの大半は、病院の地域連携室、ケアマネジャー、訪問看護ステーションからの紹介で決まります。集患を増やしたいなら、紹介元がどう動き、何を見て判断しているかを知るのが先です。
この記事では、紹介が生まれる場面を3つに分け、紹介元が判断に使う情報と、ホームページで事前に用意しておける準備をまとめます。営業に時間を割けない院長向けに、サイトで代替できる部分を中心に書いています。
訪問診療の新規患者はどこから来るのか
紹介が生まれる場面は、大きく3つです。
1つ目は退院時です。入院していた患者さんが自宅に戻るとき、病院の地域連携室(退院支援の窓口)が在宅の主治医を探します。訪問診療の新規患者として最も多い経路です。
2つ目は在宅での状態変化です。もともと外来に通っていた方が通えなくなったとき、担当のケアマネジャーが訪問診療を探します。かかりつけ医が訪問に対応していなければ、別のクリニックが紹介されます。
3つ目は訪問看護からの相談です。訪問看護がすでに入っている患者さんで、主治医の往診対応に限界があるとき、訪問看護から「在宅に強い先生に代わってもらえないか」という相談が出ます。
いずれも患者さんご本人ではなく、専門職が「どのクリニックに頼むか」を決めています。この構造を押さえておくと、サイトに何を書けばよいかが決まります。
紹介元は3つの情報でクリニックを選んでいる
連携室の担当者もケアマネジャーも、期限のなかで複数のクリニックを比較しています。弊社が連携室やケアマネジャーの方に話を聞いた範囲では、判断に使っているのは次の3つに集約されます。
対応エリアと、その患者さんの住所が入るか
最初の足切りです。患者さんの住所が対応エリアに入っていなければ、他の条件を見るまでもなく候補から外れます。「クリニックから16km」ではなく、市区町村名・町名で書いてあるサイトが選ばれやすい理由です。
受け入れ条件と、その患者さんの状態が合うか
医療処置の対応範囲(点滴、中心静脈栄養、人工呼吸器、疼痛管理)、看取りの対応、認知症や精神疾患への対応、施設への訪問の可否。担当者は目の前の患者さんの状態と照らして「この先生で大丈夫か」を見ています。書いていなければ電話で確認することになり、確認に時間のかかるクリニックは自然と後回しになります。
連絡したときの反応の速さ
退院日は決まっています。連絡して当日か翌日に返事が来るクリニックと、3日かかるクリニックでは、次からの紹介の優先順位が変わります。サイトの問題ではありませんが、関係者専用の連絡先とフォームを用意しておくと、事務側での取りこぼしが減ります。
紹介元向けのページに書くこと
上の3つをサイトに落とすと、「ご紹介いただく医療・介護関係者の方へ」という専用ページになります。患者さん向けのページと混ぜず、独立させるのが基本です。
- 対応エリア(市区町村名・町名、地図、施設訪問の可否)
- 受け入れ条件(対応処置、対応疾患、看取り、対応できないこと)
- 連絡窓口(関係者専用の電話・FAX・フォーム、対応時間、担当者名)
- 紹介の流れ(初回連絡から初回訪問までの日数、必要な書類)
- 紹介申込書と診療情報提供書のあて先(PDFで用意)
- 連携先(後方支援病院、訪問看護、薬局。掲載は相手先の了承を取ってから)
「対応できないこと」を書くのをためらう院長が多いのですが、書いたほうが紹介は増えます。合わない患者さんを紹介されて断る手間が、双方から消えるためです(弊社の経験では、連携室の担当者はこの項目を最初に見ています)。
営業に行かなくても紹介が回り始める条件
連携室やケアマネジャーへの挨拶回りは有効ですが、診療で手一杯の院長には時間がありません。営業に行かない前提で紹介を増やすには、次の3つが揃っている必要があります。
紹介元がサイトで判断を完結できること
前の章の関係者向けページがあれば、担当者は電話をかける前に候補を絞れます。「サイトを見て、条件が合いそうなのでご連絡しました」という電話が来る状態が目標です。
一度紹介してくれた相手に、結果を返すこと
初回訪問後に「無事に訪問を開始しました」と連携室やケアマネジャーに一報を入れる。これだけで次の紹介につながります。営業ではなく報告なので、事務スタッフが定型文で送れます。サイトの話ではありませんが、紹介元との関係で最も効く行動です。
地域名で検索したとき、サイトが出てくること
ケアマネジャーが新しく訪問診療を探すとき、まず「地域名 訪問診療」で検索します。検索結果に出ていなければ候補にすら入りません。サイトの各ページに対応エリアの地名を自然に入れ、Googleビジネスプロフィールの情報をサイトと揃えておくことが、この検索での土台になります。公開から順位が付くまでには、一般的に3〜6ヶ月程度かかります。
2026年度の診療報酬改定で、紹介元との連携はさらに評価される
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、地域で重症患者の訪問診療や在宅看取りを積極的に担う医療機関の評価を充実させる方針が示され、往診時医療情報連携加算の算定できる範囲の拡大や、在宅医療充実体制加算の新設が盛り込まれています(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。
地域の医療機関や訪問看護と情報を共有し、面で在宅を支える体制が評価される流れです。紹介元とのつながりは集患のためだけでなく、算定の面でも価値が上がっています。サイトの関係者向けページに「連携の体制」を書いておく意味は、算定の面にもあります。改定の詳細は告示・通知で確認してください。この記事は2026年度改定の概要資料に基づいています。
紹介元ごとに、確認したいことと窓口は少しずつ違う
3つの紹介元は、同じ関係者向けページを見ますが、重視する項目と連絡の仕方が少し違います。ページを作るときに、この違いを意識しておくと書き分けができます。
| 紹介元 | 最初に確認すること | 連絡の手段 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 地域連携室 | 対応エリア、医療処置の対応範囲、後方支援 | FAX・電話(診療情報提供書を送る) | 退院日まで。数日以内が多い |
| ケアマネジャー | 対応エリア、認知症・精神疾患への対応、家族に説明できる材料 | 電話・フォーム | 比較的余裕がある。数週間のことも |
| 訪問看護 | 指示書の返しの速さ、夜間の連絡手段、看取りの方針 | 電話・ICTツール | 状態変化時は即日 |
連携室にはFAXで送れる書式、ケアマネジャーには家族に見せられる医師紹介と費用の目安、訪問看護には指示書の対応日数と夜間の連絡先。関係者向けページの中で、それぞれに向けた小見出しを設けると、どの紹介元にも過不足なく伝わります。
ホームページの関係者向けページがない場合、何から始めればいいか
既存サイトがある場合は、関係者向けページを1ページ足すところからで十分です。対応エリア、受け入れ条件、連絡窓口、紹介申込書の4点があれば機能します。(既存サイトがWordPressなら固定ページを1枚追加するだけなので、制作会社に頼まなくても始められることが多いです)。全面リニューアルは、そのページからの反応を見てから判断しても遅くありません。
サイトがない、または開業準備中の場合は、患者さん向けと関係者向けの入口を最初から分けた構成で作ります。ページ数は10ページ前後が目安です。
最後に
訪問診療の集患は、患者さんに向けた広告ではなく、紹介元が判断しやすい情報を先に出しておくことで動きます。対応エリア、受け入れ条件、連絡窓口、申込書。この4つがサイトにあるかどうかで、連携室やケアマネジャーの動き方が変わります。
ケアつくでは、在宅医療のクリニックに絞ってホームページを制作しています。関係者向けページの追加や、紹介申込書の作成だけのご依頼も受けていますので、必要な部分からご相談ください。


