制度・診療報酬

2026年度診療報酬改定の在宅医療で訪問診療クリニックが押さえる6点

2026年度診療報酬改定の在宅医療分野で示された、在宅医療充実体制加算の新設、往診時医療情報連携加算の拡大、BCP要件化、月2回訪問区分の見直し、同時訪問の評価など。訪問診療クリニックの運営とホームページに関わる6点に絞って整理します。

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、在宅医療分野について「地域において重症患者の訪問診療や在宅看取り等を積極的に担う医療機関を評価する」方向が示されています。訪問診療クリニックにとっては、体制の整備が評価につながる一方で、一律の月2回訪問など、これまでの運用を見直す必要が出る項目もあります。

この記事では、厚生労働省の改定概要資料に示された在宅医療の見直しのうち、訪問診療クリニックの運営とホームページの記載に関わる6点を整理します。点数や要件の詳細は告示・通知で確認していただく前提で、方向性と実務への影響に絞って書きます(この記事は2026年度改定の概要資料に基づいています。個別の算定可否は地方厚生局や専門家にご確認ください)。

改定の全体の方向は「地域を面で支える体制」の評価

改定概要では、在宅療養支援診療所・病院について、重症患者への対応など地域で積極的な役割を担う医療機関の評価を充実させること、往診時医療情報連携加算の算定範囲を拡大すること、在支診・在支病の要件にBCPの策定と定期見直しを追加すること、医師・薬剤師の同時訪問を評価すること、要介護度の低い患者等に一律月2回の訪問管理を行う医療機関の評価を適正化することが挙げられています(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。

あわせて、在宅医療・訪問看護の分野では、平時からのICTを用いた情報連携に関する評価の見直しも示されています。単独で完結するクリニックより、地域の医療機関や訪問看護と情報を共有して面で支える体制が評価される流れです。

評価が充実する2つの加算

地域で積極的な役割を担う医療機関を評価する項目として、加算の新設と拡大が示されています。

在宅医療充実体制加算が新設され、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は廃止

在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、要件と評価を見直したうえで「在宅医療充実体制加算」に名称が変わりました。在宅医療において積極的な役割を担う医療機関をさらに評価する観点からの見直しです。

概要資料に示された施設基準の要点は、在宅医療を担当する常勤換算医師数が3名以上かつ常勤医師数が2名以上であること、機能強化型の在支診・在支病で自院単独の24時間連絡体制と往診体制を確保していること、過去1年間で緊急往診の実績が30件以上かつ看取りの実績と小児在宅患者数の合計が30件以上であること、などです。緩和ケアに関する研修の要件もあります。

開業直後のクリニックが直ちに該当する加算ではありませんが、複数医師体制に育てていく際の目標として、要件を把握しておく価値があります。

往診時医療情報連携加算は、連携先が機能強化型でなくても算定できる方向に

往診時医療情報連携加算は、平時に訪問診療を行っている医療機関の患者に対し、連携する別の医療機関が往診を行った際の評価です。改定では、支援を受ける側(平時の訪問診療を行っている側)が機能強化型の在支診・在支病以外である場合にも算定可能とする見直しが示されています。概要資料では200点の加算として整理されています。

従来型の在支診や、在支診以外のクリニックが平時の訪問診療を担い、夜間・休日の往診を近隣の医療機関に支援してもらう形が、評価の対象に含まれる方向です。開業直後で単独の24時間体制が難しいクリニックにとって、地域の医療機関と連携する動機です。

BCP(業務継続計画)の策定が在支診・在支病の要件に加わった

災害時における在宅患者への診療体制を確保する観点から、業務継続計画の策定と定期的な見直しが、在支診・在支病の施設基準に追加されました。厚生労働省の「BCP策定の手引き」等を参考に、医療機関の実情に応じて、災害等の発生時に在宅患者への医療提供を継続すること、非常時の体制で早期の業務再開を図ること、患者と職員の安全を確保することを目的とした計画を策定します。

同時に、看取り数等の報告要件は削除されています。要件の重心が実績の報告から体制の整備へ移ったと読めます。

サイトの観点では、関係者向けページに「災害時の診療継続計画を策定しています」と一文入れておくと、連携室の担当者が体制を確認する材料になります(計画の中身をサイトに載せる必要はありません)。

月2回訪問区分の算定に、重症患者等の割合要件が加わった

在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の「月2回以上訪問診療を行っている場合(難病等を除く)」の算定にあたって、月2回以上の訪問診療を行う患者数に占める、重症度の高い患者(別表第8の2)と包括的支援加算の対象患者(別表第8の3)のいずれかに該当する患者の割合が2割以上であることが要件に追加されています。要介護度の低い患者等に一律で月2回の訪問管理を行う医療機関の評価を適正化する趣旨です。

実務では、患者さんごとに訪問回数を状態に応じて決める運用が、これまで以上に求められます。ご家族向けの費用の目安をサイトに書く場合も、「月2回訪問の場合」を前提にした金額だけを示すのではなく、訪問回数が状態によって変わる旨を添えるのがベターです。

医師と薬剤師の同時訪問が評価され、残薬確認が要件に

ポリファーマシー対策と残薬対策を推進する観点から、訪問診療を行う医師と訪問薬剤管理指導等を行う薬剤師が在宅患者を同時に訪問することについて、新たな評価が設けられました。あわせて、在医総管・施設総管の算定にあたり、診療の際に患家の残薬を確認したうえで適切な服薬管理を行うことが要件に追加されています。

連携する薬局との関係が、算定の面でも重みを増します。関係者向けページに連携薬局の名前を載せる(了承を得て)ことは、紹介元への情報提供であると同時に、こうした連携の体制を外から見えるようにする意味があります。

訪問看護と入退院支援の見直しは、紹介元の動きに影響する

在宅医療の直接の項目ではありませんが、訪問看護と病院側の見直しは、訪問診療クリニックの紹介元の動きに関わります。

訪問看護ステーションの見直し

改定概要では、高齢者向け住まい等併設型の訪問看護について、同一建物居住の利用者数と訪問日数に応じた見直しと、1日あたりの包括評価体系の新設が示されています。あわせて、ICTを活用した地域連携の評価の新設、地域で連携して精神障害にも対応する訪問看護ステーションの評価の新設が挙げられています。

訪問診療クリニックにとっては、連携する訪問看護がICTでの情報共有を求めてくる場面が増えると読めます。関係者向けページに「情報共有の手段」を書いておくと、訪問看護が連携先を選ぶときの材料になります。

病院の入退院支援の見直し

包括期入院医療では、在宅患者・施設入所者の後方支援や円滑な入退院支援を推進する観点から、包括期充実体制加算の新設、緊急入院の入院料や初期加算の引き上げ、入退院支援加算1の充実、介護支援等連携指導料2の新設などが示されています。急性期・包括期の病院が、在宅からの緊急入院を受け入れ、退院支援を行うことを評価する方向です。

つまり、病院の連携室にとって「在宅の受け入れ先を確保すること」の価値が上がっています。訪問診療クリニックの側で、後方支援と入退院時の情報共有の体制をサイトに書いておくことは、連携室からの紹介を受ける準備でもあります(改定の詳細は告示・通知で確認してください)。

改定に合わせてサイトを見直すチェックリスト

改定の内容を、サイトの見直し項目に置き換えます。制作会社に頼まなくても、既存サイトの文章を直すだけで対応できる項目が多いです。

  • 関係者向けページに、24時間の連絡・往診体制を「誰が・いつ・どう対応するか」の形で書いてあるか
  • 第三者のサービスを使っている場合、その旨と役割分担が届出と揃っているか
  • 後方支援病院、連携する訪問看護、薬局の名前を(了承を得て)載せているか
  • 診療情報の共有方法(FAX、ICTツール)と報告の頻度を書いてあるか
  • 災害時の診療継続計画を策定している旨を一文入れてあるか
  • 費用の目安に「訪問回数は状態に応じて医師が判断する」旨を添えてあるか
  • 制度に関する記述に基準時点(◯年度改定時点)を明記してあるか
  • 医師紹介に常勤・非常勤の体制を書いてあるか

すべてを一度に直す必要はありません。関係者向けページの体制の記載と、費用の目安の訪問回数の一文から手を付けるのが現実的です。

2026年度改定で訪問診療クリニックのホームページは何を変えればいいか

関係者向けページに、24時間体制(第三者利用を含む場合はその旨も)、連携する医療機関・訪問看護・薬局、災害時の診療継続の方針、情報共有の手段を書き、患者さん向けの費用の目安には訪問回数が状態で変わる旨を添えることです。改定で評価される「地域を面で支える体制」を、サイトで見える形にしておくと、紹介元の判断材料です。

実務への影響の一覧

改定内容を、訪問診療クリニックの日々の運営に引き寄せて並べます。開業直後のクリニックは、下から2つ(月2回訪問区分の要件、同時訪問・残薬確認)が日々の運用に直結し、上の2つの加算は体制が育ってからの目標という位置づけです。

改定項目運営への影響サイトへの反映
在宅医療充実体制加算複数医師体制と緊急往診・看取り実績が評価医師紹介に体制を明記
往診時医療情報連携加算の拡大近隣医療機関との往診連携が評価対象に連携医療機関を関係者向けページに
BCP策定の要件化災害時の計画策定と定期見直しが必要「策定済み」の一文
月2回訪問区分の要件患者の状態に応じた訪問回数の設計費用の目安に訪問回数の変動を添える
同時訪問の評価・残薬確認薬局との連携、残薬確認の運用連携薬局の掲載
ICT情報連携の評価見直し訪問看護等との情報共有ツールの活用情報共有の手段を関係者向けページに

よくある誤解

「改定で点数が上がる」と一括りにする

評価が上がる項目と、要件が厳しくなる項目が混在しています。月2回訪問の要件は、運用によっては算定できなくなる項目です。

概要資料だけで算定可否を判断する

概要資料は方向性を示すもので、算定要件の詳細は告示・通知と疑義解釈で決まります。この記事も概要資料に基づいています。個別の判断は地方厚生局や医療経営の専門家にご確認ください。

サイトに点数や算定要件を書く

医療機関のサイトに算定要件を書く必要はありません。ご家族向けには費用の目安を、紹介元向けには体制を書きます。

最後に

2026年度の診療報酬改定は、在宅医療において地域を面で支える体制を評価する方向で、在宅医療充実体制加算の新設、往診時医療情報連携加算の拡大、BCP策定の要件化、月2回訪問区分の要件見直し、医師・薬剤師の同時訪問の評価、ICT連携の評価見直しが示されています。訪問診療クリニックは、連携と体制を整えるとともに、それをサイトで見える形にしておくことが、紹介元の判断材料になります。

ケアつくでは、在宅医療のクリニックに絞ってホームページを制作しており、改定に合わせた関係者向けページの見直しにも対応しています。制度の記述は改定のたびに更新が要りますので、更新しやすい作りでの制作をご相談ください。

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