在宅療養支援診療所の要件と、ホームページで体制をどう見せるか
在宅療養支援診療所(在支診)の施設基準は、24時間の連絡・往診・訪問看護体制、緊急時の入院体制、連携先への情報提供などで構成され、2026年度改定でBCP策定が加わりました。要件の全体像と、紹介元が確認できる形でホームページに載せる書き方を整理します。

訪問診療クリニックの多くは、在宅療養支援診療所(在支診)の届出をしています。在支診の施設基準は、24時間の体制や連携に関する項目が中心で、そのまま紹介元が「このクリニックに任せられるか」を判断する材料と重なります。つまり、要件を満たしている体制をホームページに書くだけで、関係者向けページの骨格ができます。
この記事では、在支診の施設基準の全体像(2026年度改定で追加された項目を含む)、機能強化型との違い、そして各要件をサイトのどこにどう書くかを整理します。制度の詳細は告示・通知で確認していただく前提で、サイトに書く観点から見た要点に絞ります。
在宅療養支援診療所の施設基準は9項目で構成される
2026年度(令和8年度)診療報酬改定の概要資料では、在支診・在支病の基準として次の項目が示されています(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。
- 24時間の連絡応需体制
- 24時間の往診体制
- 24時間の訪問看護体制
- 緊急時の入院体制
- 連携する医療機関等への情報提供
- 適切な意思決定支援に係る指針の作成
- 訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制の整備
- 介護保険施設から求められた場合、協力医療機関として定められることが望ましい
- 業務継続計画(BCP)の策定
9番目のBCP策定は、2026年度の改定で新たに要件に加わったものです。災害時に在宅患者への診療を継続する体制を確保する観点から、厚生労働省の「BCP策定の手引き」等を参考に、医療機関の実情に応じた計画を策定し、定期的に見直すことが求められています。
一方で、同じ改定で看取り数等の報告要件は削除されています。要件の中身が「実績の報告」から「体制の整備」に寄っていると読めます。
機能強化型に追加で求められる基準
機能強化型の在支診・在支病には、上の9項目に加えて、在宅医療を担当する常勤医師が3人以上(連携型の場合は連携内で3人以上)などの人員基準や、緊急往診・看取りの実績が求められます。単独型と連携型があり、連携型は複数の医療機関で24時間体制を構築する形です。
2026年度の改定では、連携型機能強化型について、平時から訪問診療を行っている医師により時間外往診体制を確保している施設と、それ以外の施設で評価を分ける見直しが行われています。また、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算が「在宅医療充実体制加算」に名称変更され、要件と評価が見直されました。在宅医療充実体制加算の施設基準には、在宅医療を担当する常勤換算医師数が3名以上かつ常勤医師数が2名以上、機能強化型で自院単独の24時間体制、過去1年間の緊急往診30件以上と看取り・小児在宅患者数の合計30件以上、などが挙げられています。
開業直後のクリニックは従来型の在支診から始めることが多く、機能強化型は体制が整ってからの選択になります(連携型で近隣のクリニックと組む方法もあり、地域によっては開業当初から検討できます)。
第三者を使った24時間体制の要件が明確化された
2026年度の改定では、第三者(株式会社等)の利用によって24時間の連絡体制および往診体制を確保する場合の要件が明確化されています。夜間の電話対応や往診を外部サービスに委ねるクリニックが増えたことへの対応と読めます。
サイトの観点では、外部サービスを使っている場合に「24時間対応」とだけ書くと、実態と受け取られ方がずれることがあります。誰が電話を受け、誰が往診に来るのかを、届出の体制と揃えて書きます(外部サービスの利用自体を隠す必要はありません。紹介元は「体制が明確か」を見ています)。
要件ごとの体制の作り方と、サイトに書く一文
9項目のうち、開業直後のクリニックが実際に体制を組む場面の多い項目について、体制の作り方の例と、サイトに書く一文の例を並べます。
24時間の連絡応需体制
院長が全部の電話を受ける形は、長く続きません。看護師が一次対応し、医師の判断が要る場合に当番医師へつなぐ形、または連携先や外部サービスが一次対応する形が一般的です。サイトには「夜間・休日は◯◯番にお電話ください。看護師が対応し、必要に応じて当番の医師が折り返します」のように書きます。
24時間の往診体制
医師1人の開業では、当番制を組めません。連携型として近隣の医療機関と往診体制を分担するか、外部サービスを使うかを決めます。サイトには「夜間・休日の往診は、当院の医師または連携医療機関の医師が対応します」と、実態に合わせて書きます。
24時間の訪問看護体制
連携する訪問看護ステーションとの契約が要ります。開業前に打診し、了承を得て名前を載せます。サイトには「訪問看護ステーション◯◯と連携し、24時間の訪問看護体制を確保しています」の形です。
緊急時の入院体制
後方支援病院との協定です。開業前に病院の連携室と相談する過程で、紹介元との接点もできます。サイトには「緊急時の入院は◯◯病院と連携しています」と、了承を得て書きます。
連携する医療機関等への情報提供
診療情報提供書のやり取り、ICTツールでの共有、定期的な報告。手段を決め、サイトには「訪問開始後は、ご紹介元へ定期的に経過をご報告します」と書きます。紹介元にとって、この一文があるかどうかは大きな判断材料です。
紹介元は要件をこの順に確認している
連携室の担当者やケアマネジャーが関係者向けページを見るとき、在支診の要件を意識しているわけではありませんが、確認する順番は要件と重なります。
- 対応エリアに患者さんの住所が入るか
- 患者さんの状態に対応できるか(受け入れ条件)
- 夜間に何かあったとき、誰が対応するか(24時間の連絡・往診体制)
- 再入院が必要になったとき、どこに入れるか(緊急時の入院体制)
- 訪問看護は誰が入るか(24時間の訪問看護体制)
- 紹介したあと、経過を教えてもらえるか(情報提供)
この順に、関係者向けページの上から下へ並べておくと、担当者は迷いません。要件を満たしている体制をそのまま書けば、紹介元の確認事項の大半に答えられます(弊社の経験では、この6点が揃ったページを見た担当者は、電話での確認をほとんどしません)。
届出のあとに体制が変わったら、サイトも同じ日に直す
在支診の届出は一度出して終わりではありません。医師の増員、連携先の変更、外部サービスの導入や解約、機能強化型への移行。体制が変わるたびに届出の内容が変わり、サイトの記載も変える必要があります。
実務では、届出の変更とサイトの更新を同じ日に行う運用にしておくと、ずれが生じません。担当者を決め、変更のたびに「届出」「サイトの関係者向けページ」「紹介元に配った資料」「Googleビジネスプロフィール」の4つを一緒に見直します(弊社の経験では、届出は事務長が、サイトは制作会社が、という分担にすると、どちらかが抜けます。届出の担当者がサイトの更新も指示する形が確実です)。
要件をサイトのどこに書くか
9項目のうち、紹介元とご家族が確認したい項目を、関係者向けページと患者さん向けページに振り分けます。
| 要件 | 書く場所 | 書き方 |
|---|---|---|
| 24時間の連絡応需体制 | 関係者向け・患者向けの両方 | 日中と夜間の連絡先、誰が受けるか、折り返しの目安 |
| 24時間の往診体制 | 関係者向け・患者向けの両方 | 往診に来る医師(当番制か、連携先か)、来られる時間の目安 |
| 24時間の訪問看護体制 | 関係者向け | 連携している訪問看護ステーション(了承を得て名前を掲載) |
| 緊急時の入院体制 | 関係者向け | 後方支援病院の名前(了承を得て)、入院までの流れ |
| 連携先への情報提供 | 関係者向け | 診療情報の共有方法(FAX、ICTツール)、報告の頻度 |
| 意思決定支援の指針 | 患者向け | 看取りやACP(人生会議)への取り組み方 |
| 訪問栄養食事指導 | 患者向け | 対応している場合に、管理栄養士の訪問について |
| 協力医療機関 | 関係者向け | 施設への訪問の可否、協力医療機関として対応する施設 |
| BCP | 関係者向け | 災害時の診療継続の方針を一文(策定済みであること) |
要件の名称をそのまま書く必要はありません。表の「書き方」の欄は、そのまま関係者向けページの見出しと本文の骨格として使えます。「24時間の連絡応需体制を確保しています」より、「夜間・休日は◯◯番へ。看護師が一次対応し、必要時は当番医師が往診します」のほうが、紹介元にもご家族にも伝わります。
「意思決定支援の指針」は患者さん向けページで活きる
9項目のなかで見落とされやすいのが、適切な意思決定支援に係る指針です。厚生労働省の在宅医療の推進に関する情報では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)の普及啓発も扱われています(出典 厚生労働省「在宅医療の推進について」)。
在支診として指針を作っているなら、患者さん向けページに「ご本人とご家族の希望を伺いながら、これからの療養について一緒に考えます」のような形で、看取りやACPへの取り組み方を書きます。ご家族が訪問診療を選ぶとき、この一文があるかどうかで安心感が変わります。ケアマネジャーが家族に説明するときにも、この記載を引用して「先生は最期のことまで一緒に考えてくれる」と伝えられます。要件を満たすために作った指針が、そのままサイトの内容になります。
在宅療養支援診療所の体制はホームページにどう書けばいいか
24時間の連絡・往診・訪問看護の体制と緊急時の入院先を、届出の体制と同じ内容で、関係者向けページに具体的に書きます。要件の名称ではなく、誰が・いつ・どう対応するかの形で書き、連携先の名前は了承を得て載せます。意思決定支援の指針は患者さん向けページに、BCPは関係者向けページに一文で触れます。
よくある失敗
「在宅療養支援診療所です」とだけ書く
要件の名称を知っている紹介元には伝わりますが、ご家族には意味が分かりません。体制の中身を書きます。
届出の体制とサイトの記載がずれている
連携型で夜間は他院が対応する体制なのに、サイトには「当院が24時間往診します」と書いてある。紹介元が実態を知ったときに信頼を落とします。
連携先の名前を了承なく載せる
後方支援病院や訪問看護の名前は、相手の了承を得てから載せます。了承が取れていない場合は「連携医療機関あり」の表現にとどめます。
要件の変更を反映しない
改定で要件が変わったのに、サイトの記載が古いまま。制度の記述は基準時点を明記し、改定のたびに見直します(この記事は2026年度改定の概要資料に基づいており、詳細は告示・通知で確認してください)。
最後に
在宅療養支援診療所の施設基準は、24時間の連絡・往診・訪問看護体制、緊急時の入院体制、連携先への情報提供、意思決定支援の指針、訪問栄養食事指導、協力医療機関、BCPの9項目で構成されます。これらを届出の体制と同じ内容で、誰が・いつ・どう対応するかの形でサイトに書くと、関係者向けページの骨格になります。
ケアつくでは、在宅医療のクリニックに絞ってホームページを制作しており、在支診の体制をヒアリングして関係者向けページに落とし込んでいます。届出の内容とサイトの記載を揃えたい場合も、ご相談ください。


