在宅時医学総合管理料と訪問回数の考え方、費用の目安をサイトでどう書くか
訪問診療の費用は、在宅時医学総合管理料(在医総管)と訪問診療料が中心で、医療機関の種類・訪問回数・同一建物の患者数で変わります。仕組みの概要と2026年度改定での月2回訪問区分の見直し、ご家族向けに費用の目安をホームページに書く方法を整理します。

訪問診療の費用について、ご家族から最も多い質問は「月にいくらかかるのか」です。ケアマネジャーも、家族に提案するときに必ず聞かれます。ところが訪問診療の費用は、在宅時医学総合管理料(在医総管)と訪問診療料が中心で、医療機関の種類、訪問回数、同一建物の患者数、加算によって変わるため、一言で答えにくい構造になっています。
この記事では、費用の仕組みの概要、2026年度改定で見直された月2回訪問区分の要件、そしてご家族向けにホームページで費用の目安を書く方法を整理します。制度の詳細は告示・通知で確認していただく前提で、サイトに書く観点から要点を絞ります(この記事は2026年度改定の概要資料に基づいています。個別の算定は地方厚生局や専門家にご確認ください)。
訪問診療の費用は「管理料」と「訪問ごとの診療料」で構成される
訪問診療の医療費の中心は2つです。
1つは在宅時医学総合管理料(在医総管)です。月ごとの管理料で、患者さんの状態、訪問回数(月1回か月2回以上か)、医療機関の種類(機能強化型かどうか、病床の有無)、同一建物での診療患者数によって点数が変わります。施設に入居している場合は、施設入居時等医学総合管理料(施設総管)が対応します。
もう1つは訪問診療料で、訪問のたびに算定されます。これに加えて、往診料(緊急時の臨時訪問)、各種の加算、検査や処置、薬剤費が加わります。
ご家族の自己負担は、これらの合計に負担割合(1割・2割・3割)をかけた金額で、高額療養費制度の上限が適用されます。介護保険の利用者は、居宅療養管理指導など介護保険側の費用も別にかかります。
在医総管の点数は医療機関の種類と患者数で幅がある
2026年度改定の概要資料には、改定事項と在医総管・施設総管の関係を示した参考表が掲載されています。たとえば機能強化型の在支診・在支病(病床あり)で、単一建物の診療患者が1人、月2回以上の訪問の場合、在医総管は4,485点、難病等の場合は5,385点とされています。同じ月2回以上の訪問でも、同一建物の患者数が2〜9人になると2,385点、と患者数が増えるほど1人あたりの点数は下がります(出典 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 質の高い在宅医療の推進」)。
機能強化型でない従来型の在支診や、在支診以外の医療機関では、これより低い点数になります。つまり、同じ「月2回の訪問診療」でも、どの医療機関に頼むか、自宅か施設か、施設なら同じ建物に何人いるかで、月の費用は変わります。
この構造を、ご家族向けのページで正確に説明するのは現実的ではありません。サイトでは目安と幅を示し、正確な金額は初回の相談で個別に案内する、という分担にします。
2026年度改定で、月2回訪問区分に「重症患者等の割合」の要件が加わった
在医総管・施設総管の「月2回以上訪問診療を行っている場合(難病等を除く)」の算定にあたって、月2回以上の訪問診療を行う患者数に占める、重症度の高い患者(別表第8の2)または包括的支援加算の対象患者(別表第8の3)に該当する患者の割合が2割以上であることが、要件に追加されました。要介護度の低い患者等に一律で月2回の訪問管理を行う医療機関の評価を適正化する趣旨です。
実務への影響は2つあります。
1つは、患者さんの状態に応じて訪問回数を設計する運用が求められることです。「全員月2回」という運用は、要件を満たさない可能性があります。
もう1つは、ご家族への説明です。「月2回訪問します」と一律に案内するのではなく、「状態に応じて月1〜2回の定期訪問」と伝え、費用の目安もそれに合わせて幅で示す必要があります。
ご家族向けの費用の目安をサイトに書く方法
費用のページを作るときの考え方です。
「月額の目安」を負担割合ごとに幅で示す
「1割負担の方で月◯円〜◯円程度、3割負担の方で月◯円〜◯円程度」のように、負担割合ごとに幅で書きます。金額は自院の医療機関の種類と標準的な訪問回数で試算し、検査や薬剤費、緊急往診は別である旨を添えます。
何が含まれて、何が含まれないかを書く
管理料と定期訪問の診療料が含まれること、臨時の往診・検査・処置・薬剤費・訪問看護の費用は別であることを、箇条書きで示します。ご家族は「この金額で全部か」を知りたがっています。
高額療養費制度と、介護保険の費用に触れる
自己負担には月の上限があること(高額療養費制度)、介護保険のサービスは別に費用がかかること。詳細は制度の説明ページや窓口を案内する形で構いません。
訪問回数が状態で変わる旨を添える
「訪問回数は患者さんの状態に応じて医師が判断します」の一文を入れます。2026年度改定の趣旨とも合いますし、ご家族に「回数は相談できる」と伝わります。
「詳しくは初回相談で」につなげる
正確な金額は個別の状態で変わるため、初回の相談で試算をお伝えする旨を書き、問い合わせ窓口を置きます。費用のページは、問い合わせの手前で不安を減らすためのページです。
自宅以外の場合と、医療保険以外の費用
ご家族の「月にいくらか」という質問には、訪問診療の費用だけでは答えきれません。施設に入居している場合、介護保険の費用、自己負担の上限。この3つも費用ページで触れておきます。
施設に入居している場合の費用は自宅と違う
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居している患者さんの場合、在医総管ではなく施設入居時等医学総合管理料(施設総管)が対応します。同じ建物で複数の患者さんを診る場合、1人あたりの点数は自宅の場合より低く設定されています。
ご家族向けの費用ページでは、「自宅の場合」と「施設に入居されている場合」で目安を分けて書きます。施設のケアマネジャーや相談員が家族に説明するときにも使える形です。
施設側と契約して訪問する場合は、施設からの依頼で入居者をまとめて診ることになります。この場合の費用の説明は、施設側と役割を分担する(施設が入居者家族に説明する)ことも多いので、サイトには「施設にご入居の方の費用は、施設または当院にお問い合わせください」の一文で足ります。
介護保険の費用は別にかかる
訪問診療は医療保険ですが、在宅で療養する患者さんの多くは介護保険のサービスも使います。訪問看護(医療保険と介護保険のどちらかで算定)、訪問介護、福祉用具、そして医師や薬剤師による居宅療養管理指導(介護保険)です。
ご家族は、医療と介護の費用を分けて考えていません。「月にいくらかかるのか」という質問には、訪問診療の費用だけでなく、介護保険の費用も含めた全体の目安が期待されています。サイトの費用ページでは、「介護保険のサービス(訪問看護、訪問介護、福祉用具など)の費用は別途かかります。ケアマネジャーが全体の計画と費用をご説明します」と書き、ケアマネジャーに橋渡しする形にします。
高額療養費制度の説明のしかた
自己負担には月ごとの上限があり、上限を超えた分は高額療養費として払い戻されます。上限額は年齢と所得で決まります。訪問診療の費用が高く見えても、上限があることを知ると、ご家族の受け止め方が変わります。
サイトでは、制度の詳細を説明する必要はありません。「医療費の自己負担には月ごとの上限(高額療養費制度)があります。上限額は年齢と所得区分で異なりますので、詳しくは加入している保険者にご確認ください」と書き、窓口を案内します。70歳以上の方は外来・入院とは別に、負担割合と上限の仕組みが異なるため、年齢で分けて案内する形も考えられます(制度の内容は変わることがあるため、基準時点を明記してください)。
費用ページの文例
上の要素を1ページにまとめた例です。自院の体制に合わせて数字を入れ替えて使えます。
「訪問診療の費用は、月ごとの管理料と、訪問ごとの診療料が中心です。1割負担の方で月◯円〜◯円程度、3割負担の方で月◯円〜◯円程度が目安です(定期訪問月1〜2回の場合)。訪問回数は患者さんの状態に応じて医師が判断します。臨時の往診、検査、処置、お薬代は別にかかります。医療費の自己負担には月ごとの上限(高額療養費制度)があります。訪問看護や訪問介護など介護保険のサービスの費用は別途かかり、ケアマネジャーが全体の計画をご説明します。施設にご入居の方は、施設または当院にお問い合わせください。正確な金額は、初回のご相談の際に個別にお伝えします。◯年◯月時点」
この程度の文章量で、ご家族が知りたいことは押さえられます。点数や算定要件を書く必要はありません。
訪問診療の費用の目安はホームページにどう書けばいいか
負担割合ごとの月額の幅、含まれるものと含まれないもの、高額療養費制度と介護保険の費用への言及、訪問回数が状態で変わる旨、そして初回相談への導線です。点数や算定要件は書かず、ご家族が「だいたい月いくらで、何が別か」を把握できる状態を目指します。
紹介元向けには「体制」を、ご家族向けには「目安」を
費用の話は、読者によって書き分けます。
ケアマネジャーや連携室の担当者は、費用の仕組みを知っています。彼らが知りたいのは、家族に説明するときに使える目安と、医療機関の種類(機能強化型かどうか)です。関係者向けページには、在支診の種別と、「ご家族向けの費用の目安はこちら」というリンクがあれば足ります。
ご家族には、仕組みではなく目安を伝えます。「在医総管」という言葉を出す必要はありません。「月ごとの管理料と、訪問ごとの診療料がかかります」程度の説明で十分です。
よくある失敗
点数表をそのまま載せる
「在宅時医学総合管理料 4,485点」のような点数の記載は、ご家族には読めません。金額の目安に翻訳します。
「月2回訪問で月◯円」と一律に書く
改定後は、訪問回数を一律に案内する形が運用と合わなくなります。幅で示し、回数は状態で決まる旨を添えます。
「安い」「安心価格」と書く
費用に関する表現は、医療広告ガイドラインの観点でも注意が要ります(出典 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」)。金額の目安を淡々と示し、比較や価値判断の言葉は使いません。
改定後に更新しない
費用の目安は、改定のたびに変わります。ページに「◯年◯月時点」の基準時点を明記し、改定後に見直します(見直しを忘れると、古い金額で家族に説明することになり、初回相談で食い違いが出ます)。
最後に
訪問診療の費用は、在医総管と訪問診療料を中心に、医療機関の種類・訪問回数・同一建物の患者数で変わります。2026年度改定では月2回訪問区分に重症患者等の割合要件が加わり、訪問回数を状態に応じて設計する運用が求められます。サイトでは、負担割合ごとの月額の幅と、含まれるもの・含まれないもの、訪問回数が状態で変わる旨を書き、正確な金額は初回相談で案内する形にします。
ケアつくでは、在宅医療のクリニックに絞ってホームページを制作しており、費用の目安ページはご家族向けの書き方で作っています。自院の体制に合わせた試算の見せ方も含めて、ご相談ください。


